2014年11月04日

あらしのあと

「再演、しよう!」

千秋楽直後の乾杯時、まつもと市民芸術館の主ホールステージに
串田さんの声が響いて2014年の「K.テンペスト」は終わった。

「終わった」というよりは「過ぎ去った」というほうが
この物語には似合っているかもしれない。

串田さんと初めて会ったのは春先。
喫茶店で1時間ほどおしゃべりをして

「じゃ、一緒にやろう」

と言われたまま顔合わせまで会うことはなく
本当にやるんだろうか、と思ったりもした。

9月の稽古に入ってからも太極拳をしたり歌ったり話をしたり。
ここでも、本当にやるんだろうか、と思ったり。

しかしある日、「芝居は役者なんだ!」と串田さんの語気が強くなった。
台本は台本、打ち合わせは打ち合わせ、
でもゲートでウズウズしている競争馬みたいじゃないと何も生まれない、
よーいどんで走り出したら他のみんなを出し抜くくらいじゃないとダメなんだと。

配役も決まっていて台本通りやるならこんな稽古はしないと。

やるのは自分なのだ。

好きでこの仕事をやっているのに
いつの間にか決めてもらうことに慣れている自分がいた。

「こんな環境で芝居がしたい!」と夢見ていた場所にいるのに
自由にやっていいよ、と言われたら受け身になっていたのだ。


僕の肩を叩いて「あと3週間あったらなあ」と嬉しそうにつぶやく串田さん。

あらしは過ぎ去った。
けれど再びやってくるに違いない。

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つづく
posted by Naoki Saitoh at 20:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記