2014年12月04日

あらしのあと9

結局、上演台本が完成しなかった。

「僕らはいつから台本にとらわれるようになったんだろうねえ」

串田さんの言葉通り、台本を解体し、足したり引いたりかけたり割ったり。
最初のうちは書きこんだり差し替えたりしていたけど
後半は「もう覚えたほうが早い!」ってことになって
頭の中の台本を上書き保存する毎日。

いいのか悪いのかそもそも台本に必要以上に書きこむ習慣がないので
僕にとっては苦ではなかったけど
今現在どこまで仕上がっているのか、キャスト以上にスタッフさんはヤキモキしていただろう。


役者から見て素晴らしい演出家が世間一般的にはあまり知られていないことに落胆することがある。
そもそも「演出家」といって世間の人々は何人思い浮かべることができるんだろうか。
まあ別に僕なんかが気にすることじゃないのかもしれないけど。

どれだけ豪華な食材をお取り寄せしても料理人の腕が悪ければ出来上がりは知れたもの。
手元にある食材でどんな料理ができるか最大限の工夫をするシェフのほうが面白いし信頼できる。

「誰になんと言われようと作品と役者は自分が絶対に守るから」

恥ずかしげもなくそう言ってくれる演出家を知っている。
串田さんも稽古初日、

「こんなの『テンペスト』じゃないじゃないか!って言われても大丈夫なように『K』をつけてあるからね」

と楽しそうに話していた。

そんな料理人の食材でありたい。

1411358778580.jpg

台本はできなかった。
でもそれにどれだけ意味があるだろう。
レシピがなくても美味しい料理は出来るのだ。

つづく
posted by Naoki Saitoh at 20:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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