2017年06月24日

全部裕次郎のせい

葉山出身だというと

ヨットとか持ってるの!?

と返されるときがある。
これはもう裕次郎のせいである。

以前、一色海岸であるおばあさんに会った。

「これやるよ」

と、おばあさんはボンタンアメを差し出すと身の上話をしだした。
どうやら古くから御用邸のそばに住んでおり
裕次郎やら慎太郎やらがヨットでやってきては
その辺で遊びまわっていたらしい。

先日テレビで「狂った果実」を放送していたが
映画の中にも鎌倉に住んでいる若者が逗子で降り、
葉山マリーナから森戸や一色までヨットやモーターボートを走らせるシーンが頻出した。

話のほうはなんてことはない、兄弟で女を取り合って破滅するだけのこと。
おぼっちゃまたちがクラブで飲んだくれ、水上スキーやらで遊びまわってナンパするなんて私生活をまんま小説にして映画化しただけじゃんか。
(関係ないけどこのころの映画って早口で何を言っているかわかりにくいことがある)

ま、それはともかく。

葉山出身ならいっそのことヨットの一艇でも持っていて
晴れた日に友人を集めてクルージングを決め込むような生活がよかったなあ。

海岸でバーベキューくらいなら・・・

結局あんな生活にあこがれてんのか。
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2017年06月20日

芝居を観に行く理由

お金、時間、興味。

お財布に余裕さえあればどんな舞台だって足を運びたい。
それを理由に見逃した作品は数知れず。
興味があれば時間はなんとか作るし
実は興味がないものほど観るべきなのかもしれない。

こんなに売れてて忙しいのに、っていう人ほどいろんな舞台を見て回っている。
マチネとソワレのダブルヘッダーをしたり
地方公演を前ノリしてまで大阪でミュージカルを観たり。

ああ、バケルくんのパパの財布があれば・・・(いや、たぶんそういうことじゃないな)



寺十さん演出の舞台を観に行ってきた。
やっぱり中原さんは見ていて面白かったし(これ単純だけど大事)
作品を見ていると演出家の愛情ってのはわかるもんだ。

共演している二人だから際立って見えたのかもしれないけど、
演出家は役者のいいところを引き出そうとして、役者はそれに応えようとするもんだ。

「マリアの首」でもエリコは「直ちゃんのそういうところ出したいんだよなあ」と言ってくれていたっけ。


終演後、お客さんの波に揉まれながら寺十さんに挨拶した。
咄嗟に「マリアの首」のタイトルが出なかったみたいで、

「行った行った、これこれ」

と手で首を斬るジェスチャーをしていた。





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2017年06月16日

流行りだすと飽きる。

悪い癖です。

ゲームやカメラが趣味なんてオタクだと言われていた時代もあったのに
なんでもできる魔法の機械を手にすると結局みんなやるんじゃん。

ブログなんて流行りでもなんでもなくなって久しいのに書かなくなったのはなんでだろう。
それはきっと自分の問題で、取るに足らないことを面白がる余裕がなかったからで、
くだらないことをくだらねえ〜と言って地べたを転がって服が汚れることを避けるようになってしまったからで。

流行り出すと飽きる性格(だと思い込んでいる)のせいにして
結局そこらじゅうに転がっているくだらないことを笑える心を失くしていたんだなあ。

いや、そんなに真剣に悩んでるわけでもなく、
とりあえずブログのタイトル変えたいだけ。
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2014年12月05日

あらしのあと10

プロスぺローは本当は魔法なんか使えなかったんじゃなかろうか。

稽古の最初の段階で考えに考えた末、僕はそう発言した。

今でもそう思っている。



ある明るい秋の朝、松本の駅前の餃子の王将で天津飯を食べていたとき
安奈さんの訃報が飛び込んできた。

信じられなかったけど、稽古場に行ったらみんな口々にしていたし
ネットでもニュースになっていたからどうやら本当のことらしかった。

ナポリ王アロンゾーは嵐にあって息子ファーディナンドと生き別れになる。
顧問官ゴンザーローは王子は生きていると王を励ます。
海に流されて長年恨みを晴らす計画を立てていたはずのプロスぺローは彼らが後悔する様子を受け止め
娘ミランダとファーディナンドがチェスに興じる姿を見せる。

僕らのテンペストでは2人の乗った台車をエアリエルが運んでくる。
軽快な音楽にのって。

死んでしまったと思っていた人がこんな風に目の前に現れたら

想像したら僕は舞台稽古から涙が止まらなかった。

役者としたら失格かもしれないけど。


お別れの言葉が見つからない。
多くの人がそう言った。

言葉を扱う生業なのに大切な時には言葉は頼りにならない。


罪、後悔、復讐、許し・・・
「テンペスト」を説明する言葉は無限にあると思う。

でもそんなことを説明するだけの芝居にどれだけの価値があるんだろう。

ステファノー、もしくは大森さんは終盤こう言う

「物語を終わらせるのは人間の作った知恵だからね」

世界の終わりを見たことがある人なんかいない。

生きている限り世界は終わらない。


プロスぺローは魔法なんか使えなかった。
やりたい放題やって気が済んだ。

僕は今でもそう思う。
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2014年12月04日

あらしのあと9

結局、上演台本が完成しなかった。

「僕らはいつから台本にとらわれるようになったんだろうねえ」

串田さんの言葉通り、台本を解体し、足したり引いたりかけたり割ったり。
最初のうちは書きこんだり差し替えたりしていたけど
後半は「もう覚えたほうが早い!」ってことになって
頭の中の台本を上書き保存する毎日。

いいのか悪いのかそもそも台本に必要以上に書きこむ習慣がないので
僕にとっては苦ではなかったけど
今現在どこまで仕上がっているのか、キャスト以上にスタッフさんはヤキモキしていただろう。


役者から見て素晴らしい演出家が世間一般的にはあまり知られていないことに落胆することがある。
そもそも「演出家」といって世間の人々は何人思い浮かべることができるんだろうか。
まあ別に僕なんかが気にすることじゃないのかもしれないけど。

どれだけ豪華な食材をお取り寄せしても料理人の腕が悪ければ出来上がりは知れたもの。
手元にある食材でどんな料理ができるか最大限の工夫をするシェフのほうが面白いし信頼できる。

「誰になんと言われようと作品と役者は自分が絶対に守るから」

恥ずかしげもなくそう言ってくれる演出家を知っている。
串田さんも稽古初日、

「こんなの『テンペスト』じゃないじゃないか!って言われても大丈夫なように『K』をつけてあるからね」

と楽しそうに話していた。

そんな料理人の食材でありたい。

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台本はできなかった。
でもそれにどれだけ意味があるだろう。
レシピがなくても美味しい料理は出来るのだ。

つづく
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2014年12月02日

あらしのあと8

「斉藤さん、編み物できます?」

劇場入りしてから美術&衣装の大島さんから聞かれた。

母親が和裁洋裁が得意なので、
子供のころ気まぐれで教えてもらったことを思い出した。

「できると思いますよ」

串田さんとの打ち合わせで船乗りが暇な時間編み物をしていた、なんて話題が出てきたらしい。
客入れ時間から俳優は自由に会場に出入りすることになっていたので
それぞれお客さんと会話したり、本を読んだり、忘れ物を取りに楽屋に帰ったり。
で、それに交ざって編み物をすることに。

お客さんを盛り上げるトーク力に不安な僕にとってはありがたい。
演出部の目黒さんに一番簡単な編み方を教えてもらいひたすら続きを編む。
たまに絡んできた共演者に相槌を打ちながらひたすら編む。

串田さんは最初から現実的にものを考えるのがきらいなようだ。
できない、と言ってしまったらできるわけがない。
歌や楽器、ダンス、太極拳からサーカスまで
「こうだったら楽しい」という想像力に限界を決めない。
「思うだけなら自由自在」を地で行くような人。

自由劇場の先輩方はみんな楽器が堪能だ。
芝居のために形から入ったらしいが、練習していくうちに
「どうやったらそんなカッコよく演奏できるのか」
とミュージシャンから聞かれるほどになったそうだ。

自分が選べるものは自分が知っているもの。
そのキャラクターがどんな音楽を聞いているのかどれだけ考えても
自分の知っている範囲内でしか選択することができない。
知らないものは知りようがないのだ。

でも人と話したり、探し続けることでその選択肢は無限に広がる。
ムチャぶりに応えたり、どうやったらいいか考えることで出来ることが増える。
これは芝居に限らないかもしれないけど。

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ま、言っても編み物ですからね、
そんなに大げさなことじゃないか。

つづく
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2014年12月01日

あらしのあと7

「からかえ、ひやかせ、ひやかせ、からかえ、思うだけなら自由自在」

劇中、大森ステファノーと細川トリンキュローが歌っていた。
ラップっぽく。

自由っていったいなんだーい、
どうすりゃ自由になれるー。

稽古から本番にかけて自由について考えた。
尾崎ばりに考えた。

そもそも串田さんが作った劇団が「自由劇場」だ。
大森さんも真那古さんも片岡さんもみんな自由劇場出身だ。
確かに同じ空気が漂っている。

本番を観に来てくれた同じく自由劇場出身の女優さんは

「私は当時串田さんの考えることしたいことを理解できなかったけど、
 今回の人たちは彼と一緒にいても心を開放できる人たちだと思った。
 そして『自由』は文字にするとどこかへ行ってしまうものなのかも。
 ・・・久しぶりに細胞がものを考える感覚を味わいました」

というありがたい感想を送ってくれた。

自由は自分一人ではつかめない。
一緒にいて心を開かないと体感できないものなのかもしれない。

そしてそれは持続するものではなく、
一緒に探し続けないと消えちゃうんだろうな。



そういえば、歌いだすステファノーとトリンキュローに
島の怪物キャリバンは「その歌はさっき教えてくれた歌とは違う」、と言い返す。

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くそ、シェイクスピアはどこまでわかって書いてんのかな。

つづく
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2014年11月23日

あらしのあと6

頑張れば自転車で行ける距離に浅間温泉がある。
なんとまあ。

稽古休みの午後、ホテルのチャリでゆるい上り坂をひた走った。

世間一般的には温泉にどのくらいの時間浸かるのか知らないけど
もともと僕はカラスの行水タイプなのでそうそう長く入っていられない。

でもせっかく行ったんだから、と露天風呂から出てベンチで一息ついていると
インド系と思しき初老の男性が同じく風呂からあがって僕の横に座ってきた。

「これは雨水を沸かしているのか」

とトンデモ質問をしてきたので(もちろん英語で)

いやいや、日本は火山列島だからあっついあっついお湯が地の底深くから湧いてくるんだよ。
と答えました。(もちろんなんとか英語で)

男性はイングランドはレスターという街から奥さんと一緒に日本に来たそうで、
広島、大阪、金沢と旅行して翌日東京に行ってからイギリスに帰るということだった。
60代後半の歯医者さんで自分はもうリタイアしてクリニックは息子に任せているらしい。

日本は友人から聞いて興味を持ち訪れたそうだが、
ちょっと物価は高いけれど、どこへ行っても食べ物はおいしくみんな親切だと言っていた。
僕も東京から松本に初めて来てここでシェイクスピアの芝居の稽古をしていることを伝え、
わからないなりにイギリスの経済の話やスコットランドの独立の話なんかに耳を傾けた。

もちろん素っ裸で。

身体も冷えてきたころ、彼はもう一度屋内の風呂に、僕は露天風呂に入ってそのまま帰った。

人と会話をすることのなんと素晴らしいことか。
松本の温泉の露天風呂でイギリスの人と素っ裸で会話に興じる。

ほんの10分くらいの会話だったけど僕の心はレスターに飛んでいた。

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翌日稽古場で話すと
「それを面白いと感じる直樹君が面白いんだよ」
と串田さんに言われた。

つづく
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2014年11月22日

あらしのあと5

舞台の現場での再会。
これほど嬉しいものはない。

それが今回は木内さんと片岡さんだったのだから
そりゃもう、やってて良かった、なのである。

串田さんと初めて会ったとき、
なんとか共通の話題を探そうと自由劇場だった片岡さんの名前を出し、
「え、青空美人だったの?」ということで木内さんの話題になり、
「木内君にも声をかけてるんだ」という話になり
十数年ぶりに同じ時間を過ごせたわけである。
しかも3人一緒に。

時が経っても木内さんは木内さんだし、片岡さんは片岡さんだった。
はて、僕はどうだったろう。

青空に参加したときから「役者を続けたい」と思っていたし
そういう僕の言葉を木内さんもずっと覚えていた。
多くの人には思い出になってしまった過去がまたこうして交わり、
今だから話せる話や今でも忘れられない話やどうでもいい話ができるのは
続けてきた自分と支えてくれた人や環境があったからだ。

やってきてよかった。
自己満足かもしれないけれど、心からそう思う。

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つづく
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2014年11月21日

あらしのあと4

稽古期間中、来年の「ユビュ王」のワークショップが重なった。

ただでさえわけのわからんテンペストと格闘しているのに
さらにわけのわからん台本に向き合わねばならんのである。

とはいえ、久々のエリコとの稽古。
いやでも張りきらざるを得ない。
いや、張りきらされてしまう。

そもそも串田さんが「帰郷」を観に来てくれたときに
エリコと会って話したのが縁で松本に呼ばれたらしいので
そう考えると全部つながっているわけなのだ。
こうして時間をかけて準備させてもらえるのはありがたいことだ。

ゲームやスポーツで身体を使って反射神経を呼び覚ましていくエリコの稽古。
串田さんのゆったりとしたテンペストの時間とは正に対照的。

時間をかけてじっくり作品に取り組み、
それを育てていくにはそれなりの環境が必要。
東京にはチャンスも多いけどゆっくり振り返る余裕がない。

完璧に仕上げてキレイにラッピングしないと許されないし
始まったら演出家は次の現場へ向かうこともしばしば。
再演があってもそれは評判がよくお客さんが入ったからで、
作品を育てたい、という趣旨ではないことが多い。

なんでもそうかもしれないけど、芝居も完成などしない、と思う。
小野寺さんの「カルメン」もしかり、現在進行形を見てもらうことしかできない。

「K.テンペスト」も終わっていないし、「ユビュ王」はもう始まっているのだ。

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つづく
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2014年11月18日

あらしのあと3

「即興」が苦手。

古典を上演する際に立ちはだかるのが大昔に翻訳された難しい言葉。
串田さんも「俳優が一生懸命覚えて喋っているだけで観客には伝わってこない」ことに
違和感を感じると言っていた。

台本にこう書いてあるから。
そう翻訳されているから。
この話はなんなんだろうか。
なんでこのシーンはあるんだろうか。
これってなんのこと言ってるの?そもそも面白いの?

「テンペスト」を解体して咀嚼して体内に取り込むために
何回も即興を繰り返した。

即興というには打ち合わせの時間が長く
ストーリーから抽出したエッセンスやキーワード、気になった点をグループで話し合い、
とにかくみんなの前で発表した。

今思えばこうしてシーンを立ち上げていったわけだけど
それはただ発表して「面白かった」「つまらなかった」と批評するものではなく
見ている人がそこから何を感じたか、ここからどこにつながっていくのか
発表を見ている人たちにも大きな役割がある。
そう串田さんは話していた。

やらせっぱなしの現場もあるけれど
でてきたものをどう編集していくか。
そこなんだな。

演じる責任、見る責任。

どんな立場でもそのシーンに積極的に食い込んでいかねばならない。
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でも即興は苦手だ。

つづく
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2014年11月05日

あらしのあと2

大きいプロダクションになればなるほど発言するのが怖くなる。

そもそも話が上手なほうではないし
国語の読解力も「もう少しがんばりましょう」な僕は
とんでもなくトンチンカンな発言をして落ち込むことも少なくない。

多くの時間を「雑談」に費やした今回の稽古では
自分が思ったことをいつでも発言できる空気が出来ていた。

今思い返せば「あの話はなんだったんだろう」という時間もあった。
飼い猫の話、「2」が好きという話、あくびの考察、お墓参りの話、カツアゲされた話、
子供のころの記憶、遭難しかけた話、隣家との塀の話、溺れかけた話、癖の話・・・

クローズアップされ本番で日の目を見た話題もあったけど
そのほとんどは儚くも松本の澄んだ空気の中に溶けて行ってしまった。

でも、誰かの体験談が誰かの人生に重なり、少しずつ確実に広がっていき
いつの間にかそれが自分の経験と相まって舞台上に空気となって漂っていたに違いない。

人間がひとりで経験できることは限られているけど
ひとの話を聞くことで無限に広がっていく。

僕の人生の大半も今まで、そしてこれから関わる誰かの「話」でできているのかもしれない。

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つづく
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2014年11月04日

あらしのあと

「再演、しよう!」

千秋楽直後の乾杯時、まつもと市民芸術館の主ホールステージに
串田さんの声が響いて2014年の「K.テンペスト」は終わった。

「終わった」というよりは「過ぎ去った」というほうが
この物語には似合っているかもしれない。

串田さんと初めて会ったのは春先。
喫茶店で1時間ほどおしゃべりをして

「じゃ、一緒にやろう」

と言われたまま顔合わせまで会うことはなく
本当にやるんだろうか、と思ったりもした。

9月の稽古に入ってからも太極拳をしたり歌ったり話をしたり。
ここでも、本当にやるんだろうか、と思ったり。

しかしある日、「芝居は役者なんだ!」と串田さんの語気が強くなった。
台本は台本、打ち合わせは打ち合わせ、
でもゲートでウズウズしている競争馬みたいじゃないと何も生まれない、
よーいどんで走り出したら他のみんなを出し抜くくらいじゃないとダメなんだと。

配役も決まっていて台本通りやるならこんな稽古はしないと。

やるのは自分なのだ。

好きでこの仕事をやっているのに
いつの間にか決めてもらうことに慣れている自分がいた。

「こんな環境で芝居がしたい!」と夢見ていた場所にいるのに
自由にやっていいよ、と言われたら受け身になっていたのだ。


僕の肩を叩いて「あと3週間あったらなあ」と嬉しそうにつぶやく串田さん。

あらしは過ぎ去った。
けれど再びやってくるに違いない。

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つづく
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2014年09月17日

テンプ、テンパー、テンペスト6

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うつむけば川、見上げれば山。

雲の動き、群れなす鳥、蠢く虫。

自然から気付かせてもらうことのなんと多いことか。

人間も自然の一部なんだなあ。
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2014年09月16日

テンプ、テンパーテンペスト5

劇場の近くのパン屋さん「ポンヌフ」。

一見するとパン屋さんかどうかわからないくらいの地味なお店で
古ぼけた窓ガラスから中を覗くと申し訳なさそうに手作りのパンが並んでいる。

「串田さんのお芝居の方ですか?ご苦労様です」

いかにも気の良さそうなご主人。

会計を済ませて外へ出ると店員さんが追いかけてきた。

「劇場の関係者の方には割引させていただいてるんです」

ただでさえ安いのにこのサービス。

芝居の消えもののパンをわざわざ焼いてくれることもあるとか。

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今日から僕もポンヌフの恋人。
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2014年09月15日

テンプ、テンパー、テンペスト4

稽古休みを利用して思いつきで上高地線に乗ってみる。

2両編成の電車で30分。

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終点新島々(しんしましま)まで30分ほど。

渕東なぎさちゃんがお出迎え。

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ちなみに沿線の「渕東」と「渚」を組み合わせたネーミングのようだ。

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だったら「新島々なぎさ」でもいいなあ
なんて考えながら人んちの裏山を散策。

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何気なく民家の表札を見てみると「深澤さん」だらけ。
深澤一族の繁栄や悲喜こもごもなんか想像したりして。

帰りの電車は下山する登山客(じゃあ下山客?)で満員だった。
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2014年09月14日

テンプ、テンパー、テンペスト3

台本を頭からひたすら読むわけではなく
太極拳をやったり、気功術(?)を試してみたり、声を出してフレーズを作ったり(?)、雑談したり。

「僕らはいつから台本に縛られるようになったんだろうね」

しばしば耳にする串田さんのため息のようなつぶやきのような言葉にはっとする。

台本にかじりついて必死にセリフや振付や楽譜を覚えて
間違えずに再現するのが目的なんだろうか。

何かをつくるときには考えている時間のほうが圧倒的に長い。

「まだまだ材料出しの時間だから」

みんなの貴重な体験談を聞きながら
よどむことなくゆっくりと時間が流れていく。


帰り道、自転車で僕らを追いこしていく串田さん。

「お疲れ」でも「また明日」でもなく

「フー!」と奇声を発して笑いながら夕闇に消えていった。
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2014年09月13日

テンプ、テンパー、テンペスト2

太極拳。

昔、自由劇場出身の山本直輝さんと共演したときに
ウォーミングアップとして教わった太極拳。

最近ソンハからは合気道、スポーツトレーナーの岡ピーからは古武道に誘われていけれど
なんとなく違うものがやりたくて、あの時教わった太極拳をもう一度やろうかとひそかに思っていた矢先

・・・

まさか串田さん直々に教えていただくとは夢にも思わず。

大自然をバックに太極拳の日々。

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それにしてもナオキさんが年下だった事実が判明して動揺。
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2014年09月12日

テンプ、テンパー、テンペスト

初松本。

「6週間のダンスレッスン」の松本公演は非番だったので
劇場はもちろん、松本に来るのも初めて。

「松本いいよぅ〜」とみんな口をそろえて言ってくるので
ほんまかいな〜、と思いながら新宿から特急あずさに揺られること2時間半。

大通りを歩いて行くと不意に現れるまつもと市民芸術館。

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そしてこれからお世話になるオープンスタジオ。

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なに、この解放感。

松本いいよぅ〜、松本い〜よ〜

松本伊予〜!
posted by Naoki Saitoh at 22:01| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記

2013年10月07日

グレードよ

CMのおねえさんにつられて消臭パフパフを購入した。

3カ月ほどは調子よくシュパシュパとよい香りを部屋にふりまいてくれていた。

帰宅するとシュパッ。
横切るとシュパッ。
一定の時間が経つとシュパッ。

なかなか気がきくやつだ。

そう思っていたらこの数日何だか様子がおかしい。
一度シュパすると10回は止まらないのだ。

それはもうさかりのついた犬のように
シュパ、ギーコ、シュパ、ギーコ、シュパ、ギーコ。
消臭も行きすぎるとテロだ。
もう部屋中消臭パフパフ臭い!

軽い気持ちでジョンソンにメールを送ってみた。

「消臭パフパフが止まらなくなることがあるんですがどうしたらいいですか?」

子供電話相談室ばりの問い合わせにすぐに返答があった。
「消臭パフパフ」ではなく「消臭センサー&スプレー」ではないですか?
とやんわりこちらの間違いを指摘してから(ごめんなさいCMのおねえさん!)
代替品を送るのでお好みの香りをお知らせくださいとのこと。

やるじゃないか、ジョンソン!

2日ほどしてブツが送られてきた。
うーん、アイラブユーロマンティックフローラル。
なんてネーミングのアロマだ、惚れちまうぜ。

やるじゃないか、ジョンソン!

新品と一緒に予備の乾電池が入っていたので取り替えるともとの状態に戻った。

かくしてうちには消臭センサー&スプレーがもうひとつ仲間入りし、
毎月入替え用のアロマを2つ買わなければいけなくなったのである。

やられたぜ、ジョンソン!

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グレードよ!
posted by Naoki Saitoh at 16:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記