2014年11月21日

あらしのあと4

稽古期間中、来年の「ユビュ王」のワークショップが重なった。

ただでさえわけのわからんテンペストと格闘しているのに
さらにわけのわからん台本に向き合わねばならんのである。

とはいえ、久々のエリコとの稽古。
いやでも張りきらざるを得ない。
いや、張りきらされてしまう。

そもそも串田さんが「帰郷」を観に来てくれたときに
エリコと会って話したのが縁で松本に呼ばれたらしいので
そう考えると全部つながっているわけなのだ。
こうして時間をかけて準備させてもらえるのはありがたいことだ。

ゲームやスポーツで身体を使って反射神経を呼び覚ましていくエリコの稽古。
串田さんのゆったりとしたテンペストの時間とは正に対照的。

時間をかけてじっくり作品に取り組み、
それを育てていくにはそれなりの環境が必要。
東京にはチャンスも多いけどゆっくり振り返る余裕がない。

完璧に仕上げてキレイにラッピングしないと許されないし
始まったら演出家は次の現場へ向かうこともしばしば。
再演があってもそれは評判がよくお客さんが入ったからで、
作品を育てたい、という趣旨ではないことが多い。

なんでもそうかもしれないけど、芝居も完成などしない、と思う。
小野寺さんの「カルメン」もしかり、現在進行形を見てもらうことしかできない。

「K.テンペスト」も終わっていないし、「ユビュ王」はもう始まっているのだ。

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つづく
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2014年11月18日

あらしのあと3

「即興」が苦手。

古典を上演する際に立ちはだかるのが大昔に翻訳された難しい言葉。
串田さんも「俳優が一生懸命覚えて喋っているだけで観客には伝わってこない」ことに
違和感を感じると言っていた。

台本にこう書いてあるから。
そう翻訳されているから。
この話はなんなんだろうか。
なんでこのシーンはあるんだろうか。
これってなんのこと言ってるの?そもそも面白いの?

「テンペスト」を解体して咀嚼して体内に取り込むために
何回も即興を繰り返した。

即興というには打ち合わせの時間が長く
ストーリーから抽出したエッセンスやキーワード、気になった点をグループで話し合い、
とにかくみんなの前で発表した。

今思えばこうしてシーンを立ち上げていったわけだけど
それはただ発表して「面白かった」「つまらなかった」と批評するものではなく
見ている人がそこから何を感じたか、ここからどこにつながっていくのか
発表を見ている人たちにも大きな役割がある。
そう串田さんは話していた。

やらせっぱなしの現場もあるけれど
でてきたものをどう編集していくか。
そこなんだな。

演じる責任、見る責任。

どんな立場でもそのシーンに積極的に食い込んでいかねばならない。
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でも即興は苦手だ。

つづく
posted by Naoki Saitoh at 19:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2014年11月05日

あらしのあと2

大きいプロダクションになればなるほど発言するのが怖くなる。

そもそも話が上手なほうではないし
国語の読解力も「もう少しがんばりましょう」な僕は
とんでもなくトンチンカンな発言をして落ち込むことも少なくない。

多くの時間を「雑談」に費やした今回の稽古では
自分が思ったことをいつでも発言できる空気が出来ていた。

今思い返せば「あの話はなんだったんだろう」という時間もあった。
飼い猫の話、「2」が好きという話、あくびの考察、お墓参りの話、カツアゲされた話、
子供のころの記憶、遭難しかけた話、隣家との塀の話、溺れかけた話、癖の話・・・

クローズアップされ本番で日の目を見た話題もあったけど
そのほとんどは儚くも松本の澄んだ空気の中に溶けて行ってしまった。

でも、誰かの体験談が誰かの人生に重なり、少しずつ確実に広がっていき
いつの間にかそれが自分の経験と相まって舞台上に空気となって漂っていたに違いない。

人間がひとりで経験できることは限られているけど
ひとの話を聞くことで無限に広がっていく。

僕の人生の大半も今まで、そしてこれから関わる誰かの「話」でできているのかもしれない。

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つづく
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2014年11月04日

あらしのあと

「再演、しよう!」

千秋楽直後の乾杯時、まつもと市民芸術館の主ホールステージに
串田さんの声が響いて2014年の「K.テンペスト」は終わった。

「終わった」というよりは「過ぎ去った」というほうが
この物語には似合っているかもしれない。

串田さんと初めて会ったのは春先。
喫茶店で1時間ほどおしゃべりをして

「じゃ、一緒にやろう」

と言われたまま顔合わせまで会うことはなく
本当にやるんだろうか、と思ったりもした。

9月の稽古に入ってからも太極拳をしたり歌ったり話をしたり。
ここでも、本当にやるんだろうか、と思ったり。

しかしある日、「芝居は役者なんだ!」と串田さんの語気が強くなった。
台本は台本、打ち合わせは打ち合わせ、
でもゲートでウズウズしている競争馬みたいじゃないと何も生まれない、
よーいどんで走り出したら他のみんなを出し抜くくらいじゃないとダメなんだと。

配役も決まっていて台本通りやるならこんな稽古はしないと。

やるのは自分なのだ。

好きでこの仕事をやっているのに
いつの間にか決めてもらうことに慣れている自分がいた。

「こんな環境で芝居がしたい!」と夢見ていた場所にいるのに
自由にやっていいよ、と言われたら受け身になっていたのだ。


僕の肩を叩いて「あと3週間あったらなあ」と嬉しそうにつぶやく串田さん。

あらしは過ぎ去った。
けれど再びやってくるに違いない。

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つづく
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2014年11月03日

次回

ありがとうございました!

K.テンペスト

串田和美・最新作!
シェイクスピアのロマンス劇の傑作「テンペスト」が、全く新しい串田版として生まれる。
2014年秋、まつもと市民芸術館に新たな嵐が巻き起こる!

作 : W.シェイクスピア
翻訳: 松岡和子
演出+潤色+美術: 串田和美
音楽監督: 片岡正二郎

出演:
串田和美 高岡奏輔 門脇麦 大森博史 真那胡敬二
斉藤直樹 藤尾勘太郎 坂本慶介
近藤隼 佐藤卓 細川貴司 ほか


《公演日程》
10月29日(水) 19:00開演
10月30日(木) 19:00開演
10月31日(金) 19:00開演
11月01日(土) 13:00開演
11月02日(日) 13:00開演
11月03日(月) 13:00開演
(各回30分前開場)

《会場》
まつもと市民芸術館・特設会場

《チケット料金》
一般: 5,400円
U-25: 3,000円(要年齢確認証提示)
[整理番号付自由席・税込]

《プレイガイド》
まつもと市民芸術館チケットセンター(10:00〜18:00)
 [電話]0263-33-2200
 [窓口]チケットカウンター
 [H P] http://www.mpac.jp※ 要事前会員登録

《問合せ》
まつもと市民芸術館 0263-33-3800

《HP》
まつもと市民芸術館HP
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2014年09月17日

テンプ、テンパー、テンペスト6

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うつむけば川、見上げれば山。

雲の動き、群れなす鳥、蠢く虫。

自然から気付かせてもらうことのなんと多いことか。

人間も自然の一部なんだなあ。
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2014年09月16日

テンプ、テンパーテンペスト5

劇場の近くのパン屋さん「ポンヌフ」。

一見するとパン屋さんかどうかわからないくらいの地味なお店で
古ぼけた窓ガラスから中を覗くと申し訳なさそうに手作りのパンが並んでいる。

「串田さんのお芝居の方ですか?ご苦労様です」

いかにも気の良さそうなご主人。

会計を済ませて外へ出ると店員さんが追いかけてきた。

「劇場の関係者の方には割引させていただいてるんです」

ただでさえ安いのにこのサービス。

芝居の消えもののパンをわざわざ焼いてくれることもあるとか。

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今日から僕もポンヌフの恋人。
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2014年09月15日

テンプ、テンパー、テンペスト4

稽古休みを利用して思いつきで上高地線に乗ってみる。

2両編成の電車で30分。

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終点新島々(しんしましま)まで30分ほど。

渕東なぎさちゃんがお出迎え。

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ちなみに沿線の「渕東」と「渚」を組み合わせたネーミングのようだ。

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だったら「新島々なぎさ」でもいいなあ
なんて考えながら人んちの裏山を散策。

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何気なく民家の表札を見てみると「深澤さん」だらけ。
深澤一族の繁栄や悲喜こもごもなんか想像したりして。

帰りの電車は下山する登山客(じゃあ下山客?)で満員だった。
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2014年09月14日

テンプ、テンパー、テンペスト3

台本を頭からひたすら読むわけではなく
太極拳をやったり、気功術(?)を試してみたり、声を出してフレーズを作ったり(?)、雑談したり。

「僕らはいつから台本に縛られるようになったんだろうね」

しばしば耳にする串田さんのため息のようなつぶやきのような言葉にはっとする。

台本にかじりついて必死にセリフや振付や楽譜を覚えて
間違えずに再現するのが目的なんだろうか。

何かをつくるときには考えている時間のほうが圧倒的に長い。

「まだまだ材料出しの時間だから」

みんなの貴重な体験談を聞きながら
よどむことなくゆっくりと時間が流れていく。


帰り道、自転車で僕らを追いこしていく串田さん。

「お疲れ」でも「また明日」でもなく

「フー!」と奇声を発して笑いながら夕闇に消えていった。
posted by Naoki Saitoh at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2014年09月13日

テンプ、テンパー、テンペスト2

太極拳。

昔、自由劇場出身の山本直輝さんと共演したときに
ウォーミングアップとして教わった太極拳。

最近ソンハからは合気道、スポーツトレーナーの岡ピーからは古武道に誘われていけれど
なんとなく違うものがやりたくて、あの時教わった太極拳をもう一度やろうかとひそかに思っていた矢先

・・・

まさか串田さん直々に教えていただくとは夢にも思わず。

大自然をバックに太極拳の日々。

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それにしてもナオキさんが年下だった事実が判明して動揺。
posted by Naoki Saitoh at 23:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記